【ブログ】超高齢社会と認知症
① 人口に占める高齢者の割合
2020年時点で日本の人口12,586万人のうち、
65歳以上の人口が占める割合は28.9%
すでに4人に1人以上が高齢者となり、
日本はまさに超高齢社会の真っただ中にいます。
② 「支え手」不足の社会問題
高齢者の人口比増加に伴い「支え手」不足の問題も深刻化しています。
支え手とは、現役世代(20歳〜64歳)を意味しています。
では、高齢者1人を現役世代何人で支えるのかというと
2019年 1.9人(実績値)
2040年 1.4人(推計値)
2065年 1.2人(推計値)
このように、高齢化が進むことで支え手が不足する社会課題が顕著になってきています。
高齢化の波をとめることができないのであれば、支え手を増やすことで高齢者の支援を行えるようにしよう。
としたのが「現役世代の再定義」です。
現在の社会保障制度では20歳〜64歳までを現役世代ととらえて、65歳以上を支援する仕組みとなっています。
しかし、その定義では現役世代の負担も増すばかりで、高齢者側にも十分な支援をすることができません。
そこで、国内では20歳〜74歳までを現役世代とすることで支え手を増やすという仕組みへの切り替えを推進しています。
では、現役世代が74歳までとした場合、高齢者1人を現役世代何人で支えるかというと
2019年 4.7人(実績値)
2040年 3.2人(推計値)
2065年 2.4人(推計値)
20歳〜64歳が支える現行の社会保障モデルに比べて、現役世代の負担が減少することがわかります。
確かに、今の65歳を見てみると元気で若々しい方も大勢いらっしゃることは実感としてあります。
しかし、数字だけで単純に74歳までを現役世代としていいものでしょうか。
③ 平均寿命と健康寿命
「寿命」という切り口から見てみましょう。
寿命には、「平均寿命」と「健康寿命」という
2種類があります。
日本人の平均寿命は
男性 80.98歳
女性 87.14歳
※2016年データ
日本人の健康寿命は
男性 72.14歳
女性 74.79歳
※2016年データ
現役世代が74歳までとなると、わたしたちは
仕事努めを終えてからの第2の人生は病気を抱え
ながらのスタートになります。
仕事を生きがいとしている人であれば、現役世代が74歳までとなることは喜ばしいことですが、
第2の人生を謳歌するんだ!と決めて頑張って仕事を続けている方にとっては、人生に大きく影響のあることになります。
なぜなら、仕事を定年退職する頃には健康体ではないのですから。
④ 増加の一途をたどる「認知症」
【認知症人口の推移(実績/推計)】
2012年には65歳以上の7人に1人が認知症という割合だったが、2040年には4人に1人となり、
2060年には3人に1人という割合で認知症を抱えている時代が想定されております。
現在47歳の方は、2040年には65歳を迎え
現在27歳の方は、2060年には65歳を迎えます。
若い方も無視できない問題となっています。
このように、認知症人口が増加する将来が予見されていますが、現在の状況はどうなのでしょうか。
65歳以上の約5人に1人が認知症を抱えており、その内訳をみると
【年齢階級別の認知症有病率】
全体として、女性の方が男性に比べて認知症有病率が高い傾向にあります。
また、年齢では80歳〜84歳 男性5.9人に1人、女性4.1人に1人
85歳〜89歳 男性2.8人に1人、女性2.2人に1人となります。
この数値は、あくまで認知症と診断された方の割合になりますが、認知症には
予備軍と呼ばれる領域もあるため、予備軍まで含めると大きな割合になってきます。
⑤ 増加する認知症についての意識調査
あなたのご両親の年齢は、おいくつですか。
もし、高齢の両親がいるのであれば、ご家族で認知症についてのお話をしてみませんか。
とはいえ、認知症というネガティブな内容を家族で話し合うことは簡単ではありません。
SONPOホールディングスが2018年9月に「認知症に関する調査」を行った結果では
「認知症を両親が患った時のために、話し合ったことがあるか」という質問に半数以上
となる56%が「話したことがない」と回答しています。
また、「認知症について話したことがない、その理由はなんですか」という質問に
「必要だと思うが、話すきっかけがない」と43%の人が回答しています。
つまり、「認知症を患った時のために両親と話しあいたいが、きっかけがない」というのが現実です。
かなでるでは「自分史」を制作しています。
自分史という人生を振り返るツールを使って、ご家族で認知症について話し合うきっかけにしてみては
いかがでしょうか。
また、認知症の治療法に「回想法」という療法があります。
これは、薬を使用しない認知症療法として確立されています。
治療の内容は「認知症患者の若い頃の出来事をお互いに共感しあいながら語りあう」というものです。
一般的には昔の写真や思い出の品を使い、過去の記憶を蘇らせて、感情を引き出します。
自分史は、過去の出来事を事実のみ記載するのではなく、ご自身の感情もあわせて語っていただけるため、
より詳細に感情を蘇らせることができます。
そのため、認知症と診断された後も「自分史」を治療に活用いただくことができます。
< まとめ >
超高齢社会を迎えた日本において、「支え手」の不足が社会課題として大きくなっています。
そこで国内では、支え手となる「現役世代」の年齢を74歳まで拡大することによって、
問題の解消へ向けて進みだしています。
しかし、第2の人生をスタートする75歳では、健康寿命を迎えており、病気との付き合い方が
残りの人生を送るうえで重要となってきます。
加齢が原因としておこる病気では「認知症」が近年増加してきており、2060年では3人に1人が
認知症患者となります。
高齢の両親がいるのであれば、この機会にご家族と認知症についてお話をしてみるのはいかがでしょう。
ネガティブな内容のため、なかなか話すことには抵抗があると思いますが、そのきっかけづくりに
「自分史」をご活用いただければ幸いです。